テキストサイズ

突然の出逢い ( N×M )

第4章  chamomile .


M side





「母さん!」





「あら、潤。来てくれたの?」



去年帰ったときより痩せているのがひと目で分かった。


笑顔はいつも通りの母さんだ。




「倒れたって聞いたから慌てて帰ってきたよ」




「そんな大げさなことじゃないよ。
ちょっと病気しちゃってねぇ...まぁ、年相応のことだよ。」




「そっか... 」




「潤。あんたもう和子さんのとこに行きなさい。私は和子さんより早く死ぬだろうし。」







「そんな!俺は母さんのとこにいるよ!」




「...本当の母親の元にいなさい。」




「今更そんな...」




「母さんねぇ、やっぱり潤は和子さんと一緒にいて欲しい。和子さんも絶対会いたがってる。ずっと離れ離れだったお兄ちゃんにも会うべきだよ。




本当の家族に戻って欲しい...


これが母さんの最後の願い。」





「最後って...」




「お願い。潤。」




母さんの真剣な顔見ると本気で願ってるんだなって嫌でも分かった。




「うん...明日和子さんに会ってくる...」




「ありがとう。私から連絡入れとくね。」





優しく笑う母さんは射し込んだ光に照らされて、

まるで向日葵のように明るく


桜のように儚げに消えてしまいそうだった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ