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突然の出逢い ( N×M )
第4章 chamomile .
病院を後にし
誰もいない実家で一晩過ごした。
特に時間も決めず目を覚まし、
コンビニで買ったパンを朝食に家を出た。
電車を乗り継ぎ、渡された地図を元に向かう。
着いた所は都会のど真ん中にある家で
決して居心地は良くないだろうと勝手に推測した。
深呼吸を1つ。
インターホンを押す。
「はい」
「あの...潤です。」
ガチャっとドアが開き、背が低く小柄な女性が
出てくる。
「潤、久しぶりね。来ることも色々聞いてるわよ。」
「和子さん、お久しぶり。」
この時はすでに母親として...
って母親だけど接してくれているのか分からなかった。
「どうぞ、入って。」
「はい。」
通された和室はなぜかとても懐かしく感じた。
小さい頃の記憶のせいか。
父の写真も飾ってある。
「潤、帰って来てくれてありがとう。
会いたかったのよ」
母さんが 和子さんも会いたがってる
と言っていたのを思い出す。
「なかなか来れなくてごめんなさい。」
タメ口がむず痒い。
「いいのよ、全然。元気にやってるみたいだし。」
それからはたわいのない話をした。
昼過ぎになって、やっと俺は和子さんに打ち解けて笑い話もいくつかした。
「あ、そうだ 潤。お兄ちゃん帰ってくるわよ。会ったことあったっけ?」
嵐は突然来た。
「いや、会ったことないかな。」
「じゃあ、初めてかぁ…
これから会う機会も多いだろうし仲良くしてあげてね。」
まさか今日、初めて兄と会うとは...
心の準備がまだ...
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