こいぐるい
第1章 おんな
『さっきからあたしばっかり喋ってたけどさ、真衣はどーだったの?』
《え?んとね…》
待ってましたとばかりの、ワントーン上がった声。
《春馬くんと、一緒に寝てた〜》
『…だろーと思った…』
飲んでいる途中から、真衣と春馬はいい雰囲気だった。
お互いに気になるんだろうなーくらいに思っていたけど、あたしが少々嫉妬していたのは秘密。
『でも春馬と仲良くなれてよかったね、最初あんなに人見知ってたのに』
あたしと春馬は、もともと知り合いだった。
ダンスイベントによく顔を出すあたしは、同じくよくそこに現れる春馬と、次第に仲良くなっていった。
でもそのテンション感って言ったら、
まるで男友達。
会うたびに肩をバシバシと叩かれ
タックルされ
挙げ句の果てには盛大なハグで迎えられる。
ムードもへったくれもないその態度に、こちらも割り切った態度しか取れずにいた。
『あたしにはぞんざいな扱いしかしないくせに…』
一応あたしだって、真衣と同じく女の子なんですからね!
《でもそれだけ春馬くん、雪乃のこと信頼してるように思えるよ?》
『えーー…そんなのいらぬ…』
喋りながら、食事の準備を進める。
あの日もカレーを食べていたな、そういえば。