こいぐるい
第1章 おんな
《じゃあもう、連絡はこれだ
゛この前はみんなで遊べて楽しかったね^^”》
真衣の裏声は機械音みたいだった。
『なんか当たり障りのない感じだね』
《うん、がっつきすぎても引かれたら嫌じゃない?
楽しかった思い出だけ、思い出させてやるんだよ》
『何? 人生の師なの?』
雪乃はスマホをスピーカーモードに切り替えると、ものすごい勢いで真衣の裏声内容を入力した。
『…送るよ』
《いけいけ~》
『本当に送るよ…』
《いったれいったれ~》
『~~~~おりゃあああ!!!』
しゅぽん
なんとも気の抜けた効果音に乗って、
雪乃の想いはヒロシへ送られた
『やってしまった…』
《それでいいんだよ!
動かなきゃ何も変わらないから!》
本当に真衣が頼りになる…
心の友よお~
しゅぽん
『ぎゃああああ!もう返ってきたーーーー!!!』
《え、なんてなんて?》
真衣の楽しそうな声が聞こえる。
『"お疲れー!楽しかったなー^^" 』
《…以上?》
『以上…』
しゅぽん
『ぎゃあああもう1個きたー!!』
平日夜に、騒がしいことこの上ない。