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若様の性長日記!・3

第4章 マッサージ研修・終了

「じゃあ、コレ渡しておくわね」




由香里さんは白衣の胸ポケットから一枚の名刺を取り出し、オレのスーツの胸ポケットへと入れる。




そしてオレの耳元へと口を近付けた。




「プライベートな時でも、いつでも連絡して良いからね」




「はいはい」




顔が近かったオレ達は、キスをしようとした…がっ!




「若様、由香里。今、帰った…」




そこへノックもなしに扉が開き、梢さんが帰還した。




梢さんはオレと由香里さんの格好を見て、固まってしまう。




「ええっと…。おかえりなさい、梢さん」




「梢ちゃん、おかえりぃ」




ビシッと音が鳴る。




…それは梢さんの体から発せられた音だった。




「由香里…、アンタ何、若様にくっついてんの?」




「あらぁ、だってわたしはずっと若様の先生だったんだもん。仲良くなってもぉ、不思議じゃないでしょう?」




由香里さん、そのわざとらしい甘ったれた声は何で今出す?




どんどん梢さんの顔が険しくなっていくじゃないか。




「ふっ…。桔梗から若様をアンタにあずけたって聞いて、慌てて仕事を片付けて戻って来れば…一体どんな教育してんのよぉ!」




ドカーンっと、梢さんの怒りが爆発した。




「きゃあん! 梢ちゃん、こわぁーい!」

「待ちなさい! 由香里!」




そして二人の女性は部屋の中で追いかけっこを始めてしまった。




オレは一人部屋に出て、壁に背をつけてため息を吐く。




「やれやれ…」




まあ梢さんからしてみれば、教え子が親友と寝たら、そりゃ怒り狂うわな。




後でこってり事情聴取されそうだ。




そんなことを思いながら、げんなりしたオレだった。










―が、オレは本当の意味で、この会社の恐ろしさを理解していなかった。




『性』、つまりセックスとは奥が深いもの。




この時のオレは、セックスとは異性同士で行うものだと勝手に思い込んでいた。




そんな考えが砕かれるのは、これからそう遠くない未来の話し。







【終わり】
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