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ふぃくしょんエッチ

第3章 トウメイニンゲン



これが、透明人間の正体だった。

結局あなたも…
私たちと同じ人だったのね…


アンナ…と呟きながら
私に手を伸ばしてきてあなたは。

どれだけ…辛い思いをしたのでしょう?


最期に微かに微笑むと
スッと目を瞑った。


終わった…惨劇はすべて…。


ガレージの方が騒がしい。

警察がやっと到着したようだった。



「大丈夫ですか!?怪我は…


……あれ?…この人は…」


「この人ですか?


最愛の家族を亡くした…


可哀想な鬼です」


「へ?」


「丁重に供養してあげてください

この人の魂が安らかに眠れるように…」



男達は……


家族を愛しすぎたが故に

凶行に及んでしまった。



愛は毒のように感情を麻痺させ

時に大きな力を発揮させる。


憎しみから何も得られないことも
承知の上で凶行に及んだジャック。



息子を助けたい一心が
どこかでズレを生じ、大虐殺に及んだリチャード。


どちらも愛があったからこそ
鬼になった。


愛のために命を捨てた。



愛は強大で

実に恐ろしいものかもしれない。


私はギュッとクリスを抱きしめた。




-完-


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