オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第22章 本能の趣くままに
「……私の事、好き?」
あんな抱き締め方をしたら、
そう思われても可怪しくないぐらい
腰に入っていた腕に残る体の感触。
半身を起こした絢音が俺の顔を覗く。
「??……」
顔、近っ。
嘘をついても仕方ない事だった。
「あぁ。惚れてる。でも ――」
襲おうなんて考えているわけじゃないと
言いたいのに自分の行動がまるで
制御出来てない。
理性なんて性欲の前では無力だ。
「マジ、ごめん……」
「ふ~ん……で、ヤリたいの?」
「……は?」
絢音からの予想外の言葉に度肝を抜かれ
視線を上げると、
あっけらかんとした表情の彼女と
目が合った。
「ヤリたいの? セッ*ス」
「あ、それはその……」
今さっきまでぐでんぐでんだった癖に
視線がはっきりしている。
酔いが醒めているのか……?
って言うか、この状況で聞くか?
「あー、まぁ、そうかな」
「へ~ぇ……」
面白がっているようには見えない。
なんだろう、この試すような視線。
気持ち悪いなら、
もっとガツンと殴るなり蹴るなり
するだろう。
絢音はそうゆう女だ。
じゃあ、これは一体……?