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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第6章 体調不良、それは ――


 進学や就職などで疎遠になって、あっという間に
 新しい彼女を作られた ―― なんて、
 話しを聞く度、自分はそんな目に遭ったりしないと
 言い聞かせていたから。
  
 裏切られて悔しい、という思いより、
 こんな男に夢中になっていた自分が
 情けなくって、その不甲斐なさに涙が溢れた。
   
 何なのよ、情けないっ!
   
 でも、一旦盛り上がってしまった感情は、
 自分でどうにか出来るもんでもない。
   
 立ち上がって。
  
 人気がない場所を探して、近くの路地へ入った。

 建物の壁にもたれたまま崩れるようしゃがみ
 込んだ。

 さっきまで無理に抑えていた涙が溢れ出て来る。
 
 やだ、もうっ! 何なの……?!
 
    
 ばっかみたい……
 今さら泣いたってしょうがないのに。

 結局は、自分に人を見る目がなかったんだ。
      
 自分の不甲斐なさを責めるよう、
 私は口へ拳を押し付け声を殺して泣いた。
      
 次から次に溢れ出る涙の量は
 決められていないんだろうか?

 笑えるくらい溢れ出て来る……。


 少し落ち着いた私の横に、何時からいたのか?

 幼なじみの三上 あつしが立っていた。

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