オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第8章 風雲、急を告げる
足早に3ーSの教室を目指す、
あつし・まりえと幼なじみの理玖。
「――ったく、絢音は大ばかだ」
「あっちゃん……」
イマイチ状況が掴めないまりえは理玖に訊ねる。
「一体何がどうしたの?」
「妊娠してるんだ」
「えっ ――」
ペロッと口を滑らせた理玖にあつしが声を荒げる。
「理玖っ!」
「ごめん」
「大丈夫。私、口は貝より固いって言われてるのよ」
後方の扉から教室内へ入った3人はすぐ
絢音を見付けた。
気配に顔を上げた絢音は、傍らへ跪いたあつしの胸へ
縋り付くよう抱きついた。
あつしは震える絢音の体を優しく抱き寄せ。
「大丈夫、俺がついてる」
「ごめんね、あっくん……」
「あつし。とりあえず保健室に運ぼう」
「おぅ」