オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第8章 風雲、急を告げる
「今回はマジ、心配した。
だいたいお前はいつもやる事が無茶苦茶だ」
「……」
「俺より半年も大人のくせに ――」
あつしの誕生日は10月15日で。
絢音は4月5日。
ちょうど半年違うのだ。
「いつまでもガキで我儘で……だから放っておけない」
「あつし……」
「俺は親父さんの後継者って器じゃないから役不足
だけど。あやねの事は昔っから大好きだ。これからは
俺が全力であやねを守るから、結婚を前提として
付き合って欲しい」
「そんな事……お父さんはともかく、
お祖父様が絶対許さないわ」
【あのお祖父様が許すわけない……】
「帰って……帰ってちょうだい」
「あやね……」
「お願い。帰って。
じきお祖父様もここに顔を出すはず。
貴方はここにいない方がいいわ」
「また来る」
そう言ってあつしは病室を出て行った。
【そう……。あつしは政党のPRには使えても、
政治家になる器じゃない。
絶対、お祖父様が反対するに決まっている】
絢音は布団のシーツをギュッと握った。
だいたいお前はいつもやる事が無茶苦茶だ」
「……」
「俺より半年も大人のくせに ――」
あつしの誕生日は10月15日で。
絢音は4月5日。
ちょうど半年違うのだ。
「いつまでもガキで我儘で……だから放っておけない」
「あつし……」
「俺は親父さんの後継者って器じゃないから役不足
だけど。あやねの事は昔っから大好きだ。これからは
俺が全力であやねを守るから、結婚を前提として
付き合って欲しい」
「そんな事……お父さんはともかく、
お祖父様が絶対許さないわ」
【あのお祖父様が許すわけない……】
「帰って……帰ってちょうだい」
「あやね……」
「お願い。帰って。
じきお祖父様もここに顔を出すはず。
貴方はここにいない方がいいわ」
「また来る」
そう言ってあつしは病室を出て行った。
【そう……。あつしは政党のPRには使えても、
政治家になる器じゃない。
絶対、お祖父様が反対するに決まっている】
絢音は布団のシーツをギュッと握った。