
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第18章 体育祭
「かがみせんせーい!」
「きゃー! 素敵ぃぃっ!!」
きゃーって……。
あいつ、あの通り無表情で愛想の欠片もないくせに、
意外と人気あるんだなぁ。
利沙曰く、あいつに群がる女子達はあいつの
実家の家柄に惹かれているんだそう。
いや、実際かなり仕事出来るし。
運動神経も抜群と来てる。ん?
それに意外と面倒見いいとこもあるし。
問題なのは、センスのなさと一般常識のなさ
ってだけで。
いや、男としてそこが一番の問題なんじゃないか!
はぁ~……。
「―― あやちゃんは何位だった?」
100メートル走を走り終わると、
たまたま図書館当番で仲良くなったB組の
朋香ちゃんが、私の肩に腕をまわしながら
聞いてきた。
「……聞かんで」
見てたくせに。
手の中にあった『6位』の紙を見せた。
もちろん、6人中6位って意味だ。
足の速さにだけは
絶対の自信があったんだけどなぁ。
桁違いの金持ちって、何でも出来るものなの?
特に3年の子達って、たいがい何の授業でも
そつなくこなしちゃってさ。
でも、そんななのに性質的にはみんなどっか
おかしなヤツばかりだと思う。
この目の前にいる樹ちゃんなんか、
やっぱり何でもそつなくこなす、一見爽やかそうな
リケジョだけど、その実、かなり思考が腐ってる
腐女子だし。
