
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第18章 体育祭
クラス対抗男女混合騎馬戦は、下馬評通り、
3年生の圧勝で終わった。
私は競技が終わるやいなや、保健室に急いでいた。
いや。
あの2人の邪魔をするつもりとか……
そんなんじゃなくて。
もしかすると、あいつのケガが、
私のせいなのかもしれないって思ったら、
すごく気になってて……。
だってこのあと、あいつ、教職員VS父兄チームの
対抗リレーも出るはずなのに。
チームのエースが走れなかったらどうしよう……。
保健室のドアを開けると、刑部さんが先生の膝を、
消毒しているところだった。
他には、誰も見当たらない。
「あ……」
「あら? あなたは確か3-Sの和泉さんだった
かしら? どうしたの? ケガでもした?」
「……あ、いいえ。なんでも、ないです……」
せっかく声を掛けてくれた刑部さんに、
ぶっきらぼうにそう言って、
そのまま保健室を飛び出してしまった。
ハァ ハァ……ハァ ハァ……
別に……何、逃げてんだろ? 私。
何かあそこにいたら、
いけないような気がしちゃって。
すごく……ドキドキしてた。
何しに行ったんだか……
だってあのケガ私のせいだろうし。
だから、謝りたくて……。
なのに、何だかわざわざ、2人の邪魔しに
行ったみたいになっちゃった気がして……。
余計気分的に、なんか……。
何なのよ? これ……。
