オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第19章 仔羊、危機一髪!
何だかそのまま戻る気になれなくて、
遠回りをするように学校の周りを歩いていた。
あまり人気のない裏道に入ったあたりで、
後ろから声を掛けられた。
「あれ~? こんな所で誰かと思えば和泉絢音ちゃん」
「え……」
振り返って見ると、知らない顔だ。
でも、上京してそろそろ1年。
例の部活のせいか?
私の顔と名前は、自分で思ってる以上に
他校の生徒やあまり素行が良くない町のチンピラ達の
間へ広まっていたようで……。
「裸足でどうしたの? ん?」
「あ……」
競技終了と同時に保健室へ向かってて。
そう言えば私、裸足だった。
そう思ったら、急に足の裏が痛くなった。
「足、痛いんじゃない?」
「え ―― いえ。大丈夫ですから」
「オレが姫抱っこして連れて行ってあげるよ。
何処へでも」
そう言いながら、ギラついた欲望むき出しの
素顔でこちらへにじり寄ってくる。