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夜の影

第26章 in the park

【智side】

こっちを向かせたくて、生意気を承知で言った。

「サトシ君、よせ」

「…………」

昨日、二宮カズナリは感情的に訴えて却下された。この人には多分そういうのは効かないんだ。

オイラには昨日の二宮の気持ちがよく解った。
役に立たないと判断されたら捨てられる。

だって、この人は切り捨てる人だ。
何の価値もないヤツだと見極めたら、きっともう見向きもしない。

「その方が俺も助かるし。
財産目当てと思われたくなかったから言わなかったけど、本当は相続税凄くて。俺も困ってたんだ」

「…………」

ヨシ、こっちを見た。
もう少しだ。

「家を手放すのは嫌だし、バイトだけじゃ食って行けない。金、くれるんだろ? だったら俺がやる」

ヒガシヤマさんは、またオイラを値踏みするように見つめた。

「今日は帰れ。一晩経っても気が変わらなければ、明日17時にもう一度ここへ来い」

言ってまた、奥の部屋へ消えた。


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