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my destiny

第2章 不思議な夢

【智side】

「あ、そうなんだ。だよね、変だと思った」

「急にタメグチじゃないですか
成長がありませんね」

「まぁ、いいから。
私はいわゆる神様ではないが、
君の好きなように呼んでいいよ」

「うん、神様。
あと、エンケンさん」

「何故私はエンケンさんなんですか?
私だってドラマでは神様の設定だったのに」


ふふっ、面白い夢。


「ね、ところで何か用なの?」

「スルーしたよ?」

「スルーですね」


ははははっ!なんだこれ(笑)。


「あのね、そろそろ時期だから教えておこうと思ってね」


神様が言った。

時期?


「昔、農家の爺さんと話したでしょ?
あの爺さんは信心深い、良い人間だった」


神様は、ウンウンと頷きながら、ちょっと懐かしそうな顔をした。

オイラは、なんだか落ち着かない。
胃がソワソワしてくる。


「準備は出来ましたか?」


エンケンさんが言った。


「オイラ、そろそろ戻らないと
翔君が心配するし」

「スルーしたよ?」

「スルーですね」

「怖がることじゃないよ
君にとっては、むしろこっちに居続ける方が大変だ」


神様は、孫に向かって言い聞かせるようにオイラを見つめた。

エンケンさんが無表情に続ける。


「忘れてたんじゃないですかね?」

「うむ、潜在意識だから、恐れがあっても仕方あるまいな」


帰ろ。

聞かない方が良い話のような気がしてきた。
オイラ、翔君のところに帰る。

目の前にある赤い鳥居のトンネルに向かって走った。


「君のことだったら何だって知ってますよ」


背中で神様の声がする。


「選ぶだけのことです」


エンケンさんが言う声が、小さくなっていく。





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