my destiny
第1章 Prolog
【翔side】
「ねぇ、翔君、知ってる?
寿命って、自分で決められるんだって」
10年以上も前のことだ。
貴方が言ったことが 今も忘れられない。
孫になります設定の番組で行ったロケで、出会ったじーちゃんから聞いた話らしい。
そのロケの帰り、二人並んで座った車の中で教えてくれた。
「あんね、自分の寿命って何歳か、
真剣に考えると数字が浮かぶんだってぇ
だいたい2つか3つ?出て来るから、
そこから好きな数字を選べるんだってさ」
「ふーん、好きな数字を選べる、
って宝くじじゃあるまいし
随分と安易だな~」
右脳で物事を受け止める貴方と違って、俺は昔から理屈で裏付けがない話には懐疑的だった。
曖昧で不確かな情報に左右される、実体のない人気というもの。
それが俺たちを雁字搦めにする。
あの頃は先が見えなくて、尚更に、傷つけられたくなかった。
自分自身と、身内、大切な貴方を。
ロケの疲れもあって、俺は多分、不機嫌だったんだろう。
知らずに口調が強くなっていたのかもしれない。
「そうは言ってもさ、
50歳と70歳じゃぁ20年も違うよ
じゃぁ、50歳って決めたら、50歳で死ぬの?
そしたら、残ってた筈の20年はどこに行くわけ?
大体、家族とかもいるわけだし、
本人がそれで良くても周りが困るだろ」
俺の反応を見た智君は、困った時によくする仕草で、俯き、場を和ませようと精一杯小さく笑った。
それから、遠くにある何かを探すように窓の外へ目をやり、俺から顔をそむける。
何かまずいことを言ってしまったのかと、俺は慌てて智君の手を握った。
膝の上で繋いだ手をポンポンと弾ませながら、顔を覗き込むように笑いかけると、智君はホッとした様子で、恥ずかしそうに話を続けた。
「ねぇ、翔君、知ってる?
寿命って、自分で決められるんだって」
10年以上も前のことだ。
貴方が言ったことが 今も忘れられない。
孫になります設定の番組で行ったロケで、出会ったじーちゃんから聞いた話らしい。
そのロケの帰り、二人並んで座った車の中で教えてくれた。
「あんね、自分の寿命って何歳か、
真剣に考えると数字が浮かぶんだってぇ
だいたい2つか3つ?出て来るから、
そこから好きな数字を選べるんだってさ」
「ふーん、好きな数字を選べる、
って宝くじじゃあるまいし
随分と安易だな~」
右脳で物事を受け止める貴方と違って、俺は昔から理屈で裏付けがない話には懐疑的だった。
曖昧で不確かな情報に左右される、実体のない人気というもの。
それが俺たちを雁字搦めにする。
あの頃は先が見えなくて、尚更に、傷つけられたくなかった。
自分自身と、身内、大切な貴方を。
ロケの疲れもあって、俺は多分、不機嫌だったんだろう。
知らずに口調が強くなっていたのかもしれない。
「そうは言ってもさ、
50歳と70歳じゃぁ20年も違うよ
じゃぁ、50歳って決めたら、50歳で死ぬの?
そしたら、残ってた筈の20年はどこに行くわけ?
大体、家族とかもいるわけだし、
本人がそれで良くても周りが困るだろ」
俺の反応を見た智君は、困った時によくする仕草で、俯き、場を和ませようと精一杯小さく笑った。
それから、遠くにある何かを探すように窓の外へ目をやり、俺から顔をそむける。
何かまずいことを言ってしまったのかと、俺は慌てて智君の手を握った。
膝の上で繋いだ手をポンポンと弾ませながら、顔を覗き込むように笑いかけると、智君はホッとした様子で、恥ずかしそうに話を続けた。