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my destiny

第1章 Prolog

【翔side】

「みんなね、
生きてる間に、絶対にこれをやる、
って決めてることがあんだって」

「あ~、つまり人生の目的みたいなもの?」

「そうそう。
で、それを何年かけてやるかはぁ、
自分で決めていいんだって」

「50年かけてやるか、
70年かけてやるかは自由、ってこと?」

「そうなの!
面白いでしょ?
早く終わったら、
あっちに戻ってもいぃんだよ?」

「へぇ…」


まぁ、お年寄りの話って、なかなか含蓄があるかな。

長い人生を歩む中で、辛い出来事を乗り越える為には、穏やかな余生を夢見るのも一つの慰めになるんだろう。


貴方の目的って何?

訊きたくても訊けない。


俺たちと一緒に居る事じゃないのかもしれない。
もしかして早く終わらせてしまいたいの?

話に関心がある振りで返事をしたものの、どことなし楽しそうに俺を見上げた表情に、不安が芽生えた。


「翔君、オイラねぇ、**歳」

「何が?」

「思いついた数字」

「はぁ!?アナタ何言ってんのよ!!!!」


その数字は早逝と言われるのに十分な年齢だった。

俺はびっくりして、体ごと横を向くと、智君を正面から見据えた。

冗談じゃなかった。

そんな質の悪いお伽話は、いくら貴方の気を引く内容でも、俺には受け入れられない。


「…翔君、声が大きい……」


構わずに、握った手に強く力を込めた。

腹が立って涙が出そうだった。







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