テキストサイズ

my destiny

第6章 Pray

【翔side】

ベッドまで智君を運ぶと、服を全部 脱 が せ て 布団に入れた。
寝室のエアコンを入れて、俺も 脱 ぎ、貴方の隣に横たわる。

腕枕をして俺より一回り小さい貴方を 抱 え込み、冷えた 体 が温まるまで暫く背中を 撫 で ていた。

穏やかな深い呼吸を聴いていると、腕の中に居るこの人が、哀れに思われてくる。

閉じた目蓋の下に影が出来ていた。

何かで苦しんでいるのは間違いないのに、一人で何とかしようとして。

弱ってる姿を見せるような人じゃない。

抱 えきれなくなったのか。





貴方、最近、俺が帰宅した後、眠った振りをしていたでしょ?

知ってたよ。

何年一緒に居ると思ってるの。

本気で熟睡しているのかどうか、貴方の息遣いぐらいわかるよ。

俺が忙しいから気を遣っているのか、それとも体調が悪いのか。

もしかしたら、抱 き 合 いたくないのかもしれない、なんて思って遠慮していたのが間違いだった。

抱 き しめる俺の体温で、こんなに安心して、呼吸が深くなるんだね。

俺は馬鹿だ。

解決するために原因を探るんじゃなくて、ただ寄り添って、抱 い てやれば良かったんだ。





寝付いた子供にするように、ゆっくり仰向けにして。
空いている手で頭を支えながら、首の下から腕を抜く。

髪を 撫 で て。

額に 口 づ け る。

少しずれて眉の上の黒子にも。

それから眉に。

目蓋に。

睫毛に。

反対側も。

まだ起こさないように、そっと。

ただ触れるだけの 口 づ け を。

鼻の頭に。

頬の傷に。

耳に。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ