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my destiny

第1章 Prolog

【智side】

「ねぇ、翔君、知ってる?
寿命って、自分で決められるんだって」


10年以上も前、翔君と二人で行ったロケの帰り。

番組で出会ったじーちゃんが教えてくれた寿命の話をした。

毎年、誕生日が近づくと、この時のことを思い出す。

翔君と二人、並んで座った車の中で、オイラ、翔君をひどく怒らせた。

怒らせたって言うか、悲しませたんだろうな。

二人とも、若かったから。

わかっていないことが沢山あった。


「あんね、自分の寿命って何歳か、
真剣に考えると数字が浮かぶんだってぇ
だいたい2つか3つ?出て来るから、
そこから好きな数字を選べるんだってさ」


面白い話を聞いてわくわくしたオイラは、この話を誰かにしたくてしょうがなかった。

けど、翔君の反応は思ったようなものじゃなくて。


「ふーん、好きな数字を選べる、
って宝くじじゃあるまいし
随分と安易だな~」


頭の良い翔君にそんな風に言われて。

オイラは、また、馬鹿をやったんだな、と思って自分にガッカリした。

多分、丁度、あの時って、事務所の契約を更新した後ぐらいだったんじゃないかな。

オイラは、やるだけやって終わるなら、それでも良かったんだ。

努力してれば、必ず誰かが気づいてくれる、って。

誰も気づかないなら、その人たちの目が曇ってるだけだ、って。

だから、一個一個、目の前のことをやって行こう、ってさ。

口では言ってたけど。

自分自身に限って言えば、評価されないことには、もう、慣れっこだった。

でも翔君は、学校との両立で大変な思いをして続けてきてたしね。

結果を出すまでは、絶対に引かない、って言ってて、守るのに必死だったんだろうね。

翔君はオイラと違って、いろんなものを持ってるから。
失うものも、また多い。

焦って、ピリピリするのも当然だ。

だけど、オイラはのんきで、さぞかし皆をイライラさせたことだろう。





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