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my destiny

第1章 Prolog

【翔side】

「貴方、俺に、ずっと一緒にいるって言ったでしょ?
俺を置いて行くなんて、
駄目だよ、絶対ダメだから!」


なんとか理性で声を低く抑えたけれど、怖かったんだろう。

智君は、目を見開いて、逃げるように体を窓に預ける。


「…翔君、ごめん…」


呟いて、俯いてしまった。


「あ~、違うよ、怒ってないから
いや、怒ってるけど!」


智君の頬が膨らんで、引き結んだ唇が前にとがってくる。

やばい、と思う間に、目が充血して、ポロポロと涙を零した。

泣かせたかったわけじゃないのに、と思うと、自分が情けなくて溜息が出る。


「好きなんだよ、わかってる?」


極力優しく聞こえるように言って、空いてる手も握った手の上に重ねた。


「…うん…」


俺を見上げた智君の目から、また綺麗な涙が零れた。


本当は自由に飛んで行きたい貴方。

この人には、未練なんてものは何もないことを知っていた。

仲間の為に、俺の為に、望んでくれる人の為に、籠の鳥になってるだけ。


「智君がいなくなったら、俺、生きていけないからね」


俺は貴方に呪いをかけた。

憐れみでも、罪悪感でも、何でもいいから、あなたの重しになるように。





今も俺の隣で、智君は生きてる。

例の寿命とやらが過ぎるまで、俺の不安は完全には消えず燻り続けるのだろう。

智、ごめん。

飛んで行かないで。





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