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my destiny

第9章 Scar

【翔side】

深夜、智君が俺を呼ぶ声で目が覚めた。
最初、俺も寝呆けてて、何だろうと思ったんだけど。
苦しそうに唸る声がしてるのに気がついて体を起こす。

「智君?」

「しょおくん…どこ…」

魘されてる。
暗い中、手を伸ばして智君の体に触れると、汗で湿ってるのがわかった。

「智?夢だよ」

「…しょおくん…」

手探りでベッドサイドの明かりを点けた。
光が眩しくて目に痛い。
慌てて操作して、弱い明かりに調節する。

「智?」

胸に手を当てて揺すっても起きない。

「…っ……」

苦しそうに首を振ってるから、驚いて布団を握りしめてる手を上から握った。

「智っ」

「しょおくん…いないの?」

苦しげな顔がますます歪む。

「っ…しょおっ…」

「智っ!!
いるよ!!
ここにいる!!!」

大きな声で呼ぶと、ようやく目を開けた。
焦点の合わない瞳が揺れて俺を探す。





「あ、しょおくん…いた…良かった…」

「うん、居るよ、大丈夫だよ」

激しい運動をした後みたいに息が荒い。
頭を抱くようにして、頬を寄せた。

「こわい夢、見てた…
ありがと、起こしてくれて」

「うん、大丈夫だよ、もう大丈夫…」

まだ、はぁはぁ言ってる。

「起きられる?水、飲みな?」

俺は体を起こすと、ベッドサイドの小型冷蔵庫から、常備してるミネラルウォーターのペットボトルを取り出した。

「こわかったぁ…」

額に手を当てて、自分の汗に触れたんだろう。
緩慢に拭った。

蓋を開けたペットボトルを見せると、智君はゆっくり体を起こして、そのまま俺に抱きついてきた。
首に腕が回る。

「しょおくん」

「うん?」

「しょおくんの気持ち、やっとわかった」

手がふさがってるから、首だけ傾げて智君の頭に寄り添わせた。

「どうしたの?」

「智は俺の気持ち分かってない、って
翔君、よく言ってたでしょ?」

「……」

「翔君いなくなったら、どうしようって
夢の中ですごく怖かった…」

「うん…」

俺の頭を抱いてる腕が震えてる。

ペットボトルをベットの頭の部分にある棚に置いて、しっかりと抱きしめた。




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