my destiny
第12章 陸奥一之宮
【翔side】
神社、ってのは人智を超える存在がいらっしゃる聖域なんだなぁ、と後年つくづく思った参拝だった。
多分、耳を澄ませるように、気持ちを澄ませていないと気づかないんだろうけど。
ちょっとしたタイミングが全て調整されたもので、結果、この後のことに続いていた。
鹽竈神社で手を合わせて、また狛犬のところまで戻ると、正面にある立派な門が目に入る。
俺たちは坂道の上にある駐車場から別の参道を歩いて来たんだけど、門の先には、長い階段が続いてて、本来はこちらを上ってくるのが正式だったらしい。
智君と二人で階段を見下ろして、うーん、これを上るのはちょっとキツイね、などと話していたら、ボランティアらしいブルーのジャンパーを着た年配の男性に話しかけられた。
「なぁがいーねぇ~」
ニコニコしたいかにも好々爺といったお爺さんで、感じの良い方だ。
大分、訛っている。
はい?と思って、曖昧に笑顔で応えると智君が笑った。
「仲良いね、だって」
「ああ!」
なぁがいーねぇ~、って、なるほど(笑)。
「どうも、お早うございます」
二人で会釈すると、話し好きの方なのか立ち話になってしまって、訛りのある会話は楽しかったけど、時間がかかりそうだ。
「こごは二柱の神様がいらっしゃるがら
志波彦神社にもお参りしてぐどいーよ
今は津波の後で、
鹽竈神社の神様はがおってらっしゃるからねぇ
海の神様だから」
ふんふん、と頷きながら話をお聞きしていると、お爺さんは突然険しい顔になって階段の方を見やる。
つられて俺と智君もそちらを見ると、何か異様な雰囲気の男性が歩いてくるところだった。
スウェットの上下にサンダル履きで、上に工事現場で着る作業服のような防寒ジャンパーを着てる。
手に紙のバッグを下げていて、すれ違った時にプンとガソリンの匂いがした。
風が吹いてザワザワッと木が揺れる。
「んで、ちーつけでかえらいよ」
お爺さんは言って、足早に社務所の方へ駆けて行った。
なんだろ?と智君を見る。
「気をつけて帰りなさい、って言ってたんだよ」
教えてくれて、楽しそうに笑った。
俺は正直、智君さえ機嫌良く過ごしてくれてたら、他のことはどうとでもなると思ってるから。
この時の一瞬の出来事は、そのままスルーして、すぐに忘れてしまった。
神社、ってのは人智を超える存在がいらっしゃる聖域なんだなぁ、と後年つくづく思った参拝だった。
多分、耳を澄ませるように、気持ちを澄ませていないと気づかないんだろうけど。
ちょっとしたタイミングが全て調整されたもので、結果、この後のことに続いていた。
鹽竈神社で手を合わせて、また狛犬のところまで戻ると、正面にある立派な門が目に入る。
俺たちは坂道の上にある駐車場から別の参道を歩いて来たんだけど、門の先には、長い階段が続いてて、本来はこちらを上ってくるのが正式だったらしい。
智君と二人で階段を見下ろして、うーん、これを上るのはちょっとキツイね、などと話していたら、ボランティアらしいブルーのジャンパーを着た年配の男性に話しかけられた。
「なぁがいーねぇ~」
ニコニコしたいかにも好々爺といったお爺さんで、感じの良い方だ。
大分、訛っている。
はい?と思って、曖昧に笑顔で応えると智君が笑った。
「仲良いね、だって」
「ああ!」
なぁがいーねぇ~、って、なるほど(笑)。
「どうも、お早うございます」
二人で会釈すると、話し好きの方なのか立ち話になってしまって、訛りのある会話は楽しかったけど、時間がかかりそうだ。
「こごは二柱の神様がいらっしゃるがら
志波彦神社にもお参りしてぐどいーよ
今は津波の後で、
鹽竈神社の神様はがおってらっしゃるからねぇ
海の神様だから」
ふんふん、と頷きながら話をお聞きしていると、お爺さんは突然険しい顔になって階段の方を見やる。
つられて俺と智君もそちらを見ると、何か異様な雰囲気の男性が歩いてくるところだった。
スウェットの上下にサンダル履きで、上に工事現場で着る作業服のような防寒ジャンパーを着てる。
手に紙のバッグを下げていて、すれ違った時にプンとガソリンの匂いがした。
風が吹いてザワザワッと木が揺れる。
「んで、ちーつけでかえらいよ」
お爺さんは言って、足早に社務所の方へ駆けて行った。
なんだろ?と智君を見る。
「気をつけて帰りなさい、って言ってたんだよ」
教えてくれて、楽しそうに笑った。
俺は正直、智君さえ機嫌良く過ごしてくれてたら、他のことはどうとでもなると思ってるから。
この時の一瞬の出来事は、そのままスルーして、すぐに忘れてしまった。