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my destiny

第14章 Accident 1

【翔side】

帰りの新幹線は「はやぶさ・こまち」ではなく「やまびこ」にした。

往路でもグランクラスにしようか随分迷ったんだけど。
1時間半しか乗ってないのにグランクラスは無駄遣いだって智君が言うから、結局グリーンにした。

この人は、こういうことに全然こだわらないから、移動なんか何でも良いって、いつも言う。

自分一人だったらバレないもん、って。
変なところで自信持っちゃってるのが困りもので。

上りの新幹線は、急げば間に合いそうな「はやぶさ・こまち」もあったんだけど。
それだと隣同士の席が取れなかった。

疲れているだろう智君を急かして行動したくなかったのと、智君の体を休ませるには、乗車時間が長い方が逆に眠れて良いかと考えて、1本遅い「やまびこ」のグリーンにしたんだけど。

むしろ更にもう1本送らせて、次の「はやぶさ・こまち」に乗っていれば…。

あんな事にはならなかったのかもしれない。



元々は、昼には仙台に来るといつも行っている牛タン屋さんに行くつもりだった。

だけど予定を立てられないまま急に出発することになったから、店に前もって連絡することが出来なくて。

レンタカーを返した時に電話してみたら通じなかった。
ネットで確認したら、どうやら臨時休業らしい。

「翔君は、ほんと、食べる事には全力だね」

ホームに上がってからも諦めきれずにガッカリしている俺を見て、智君は可笑しそうに笑ってた。

「オイラはここの弁当も好きだけどな」

腕に掛けた「リキュー」のビニール袋を揺らしてみせる。

「リキューは何回も食べてるじゃん」

「んふふっ
ずんだシェイクは買ったんだからいいじゃんか」

言って、手に持ってたカップからズズッと吸う。

「まぁね!寒いけどね!!」

「んもぅ、機嫌直しなよ」

ズバリ言われてしまって、仕方なく俺もストローに口をつける。

だって貴方、戻ったらそのままスタジオに行くんでしょ。

俺は、てっきり1回家に帰って、二人で甘い時間を過ごせると思ってたのにさぁ。
何のためにキスだけで我慢したんだか。

仕事なのはわかるけど。
少しぐらい、いいじゃん。

こんなことなら、車の中でもう少しイタズラすれば良かった。

でも、そんなことしたら、途中で止められなくなるし…。

「ブツブツ…」

「ぶつぶつ言わないの」

「だって、ブツブツ…」

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