my destiny
第14章 Accident 1
【翔side】
二人で乗車口のラインに並び立ち話をしていると、どこかで嗅いだことがあるような臭いがした。
ガソリン臭だ。
俺たちの脇を、男性が一人、キョロキョロしながら通り過ぎて行った。
挙動が明らかにおかしい。
足取りも定まらず、フラフラしている。
「翔君、あの人」
「うん、神社でもすれ違った人だね」
神社で見た時は、ここまで挙動不審ではなかった。
俺は思わずシェイクを持ったままの手で智君の肩を引き寄せる。
危ない。
近づけてはいけない。
直感で、そう思った。
「どこか行くような感じじゃないよね」
智君は振り返って、男性を見ようとする。
「見ないで、あの人ヤバイ感じがする」
「ガソリンの臭いがしたよ
駅員さんに言った方が良くない?」
そうだけど…。
俺たちが迂闊なことをすれば、騒ぎになりかねない。
智君の頭越しに男性を目で追うと、すれ違う他の客も不審に思うようで振り返って彼を見ている人が何人か居た。
そのうちの女性二人組が、駅員を指さして頷き合い、手荷物を抱え直している。
歩き出す様子を見せたから、あの人たちが駅の人に伝えるんじゃないか。
ああ、やっぱりそうだ。
駅員のところまで移動した。
男性が去った方向を指さしながら、何か話している。
「今、あっちで駅員さんに言いに行ったみたい」
男性はどこに行ったんだ?
姿が見えなくなってしまった。
「智、俺から離れないで」
「うん」
智君は一歩俺に近づくと、緊張した顔で後ろを振り返ろうとする。
「見ない」
「うん…でも」
「巻き込まれたら駄目だって
わかるよね?」
「うん」
俺は思わず智君に触れている腕に力を込めて、もっと自分の方へ、と引き寄せた。
二人で乗車口のラインに並び立ち話をしていると、どこかで嗅いだことがあるような臭いがした。
ガソリン臭だ。
俺たちの脇を、男性が一人、キョロキョロしながら通り過ぎて行った。
挙動が明らかにおかしい。
足取りも定まらず、フラフラしている。
「翔君、あの人」
「うん、神社でもすれ違った人だね」
神社で見た時は、ここまで挙動不審ではなかった。
俺は思わずシェイクを持ったままの手で智君の肩を引き寄せる。
危ない。
近づけてはいけない。
直感で、そう思った。
「どこか行くような感じじゃないよね」
智君は振り返って、男性を見ようとする。
「見ないで、あの人ヤバイ感じがする」
「ガソリンの臭いがしたよ
駅員さんに言った方が良くない?」
そうだけど…。
俺たちが迂闊なことをすれば、騒ぎになりかねない。
智君の頭越しに男性を目で追うと、すれ違う他の客も不審に思うようで振り返って彼を見ている人が何人か居た。
そのうちの女性二人組が、駅員を指さして頷き合い、手荷物を抱え直している。
歩き出す様子を見せたから、あの人たちが駅の人に伝えるんじゃないか。
ああ、やっぱりそうだ。
駅員のところまで移動した。
男性が去った方向を指さしながら、何か話している。
「今、あっちで駅員さんに言いに行ったみたい」
男性はどこに行ったんだ?
姿が見えなくなってしまった。
「智、俺から離れないで」
「うん」
智君は一歩俺に近づくと、緊張した顔で後ろを振り返ろうとする。
「見ない」
「うん…でも」
「巻き込まれたら駄目だって
わかるよね?」
「うん」
俺は思わず智君に触れている腕に力を込めて、もっと自分の方へ、と引き寄せた。