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やさしく愛して 「改訂版」

第1章 やさしく愛して 「改訂版」

         8

 恒さんは、困ったように手を泳がせていたが、優しく抱いてくれた。
 「霧子さん
  気のすむまで
  泣いたらいい」
 「うん
  ウグッ
  うれしいよ~
  ウワーン」
 しばらくして、わたしは、ようやく泣きやんだが、そのまま、恒さんに、抱きついていた。
 恒さんも、抱いていてくれた。
 「恒さん
  わたしを
  抱いて」
 「霧子さんが
  気のすむまで
  抱いててあげる」
 「そうじゃ
  ないの」
 「えっ」
 「だから
  抱いて
  ほしいの」
 「いいの?」
 「恒さんの
  優しさに
  抱かれたいの」
 「霧子さん」
 恒さんは、わたしが寝ていた布団に、わたしを、いざなった。
 そして、キスしてくれた。
 唇を合わせたまま、指でわたしの涙を、優しく拭ってくれる。
 その指が、わたしの、胸に伸びた。

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