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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第6章 佐倉武・最終話



「え、た……武? ちょっ……」


 今度は俺が、片腕で実果留を抱き寄せた。


「武……」


 肩に寄りかからせると、実果留は俺に身を寄り添うようにし、胸にしがみついてきた。


「たくっ……バカはどっちだよ」

「はっ?」

「わざわざ好きじゃないヤツとつき合ったりしてさ。そこまでして俺の気持ちを知ろうとするって、どんだけ俺のことが好きなワケ?」

「なっ……わ、悪いっ!?」


 ぷっ……実果留、真っ赤だし。



「あぁ、悪いよ。
 悪いけど……可愛いよ」


「……え?」


「すんげー可愛い。実果留……好きだ」


「……ふっ……武ぅ……私も好きぃ……」



 あーあ。余計に泣かせちまった。


「ハンカチなんて持ってねぇから、これで拭けっ」

「うぷっ」


 俺は実果留を埋めるように抱きしめて、胸元で涙を拭わせた。

 縮こまってスリスリと顔を擦る実果留が小動物みたいで、ますます愛おしくなる。


「……もう、夕崎のところにも、他のヤツのところにも、絶対行かせないからな」

「っ、うんっ……」


「ていうか、今日から俺ら……『双子コンビ』じゃなくて……
『双子カップル』……だな」


「……うん! だねっ!」



 実果留の望んでいたことが、その幸せいっぱいの笑顔でわかった。


 俺はその笑顔に手を添えると、ゆっくりと顔を近づけて――



「たける…………ん……」



 下の野球少年達に見られても刺激を与えない程度の、ソフトなキスを交わした。


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