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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第2章 佐倉武



 *


 あぁー……まだボーっとするなぁ……。


 思い出を振り返っていたら、いつの間にか眠っていた。目が覚めた時は、もう12時過ぎだった。

 昼になっても熱は下がらず、まだ意識がもうろうとしていた。

 ベッドから起き上がり、おふくろの愛が込められてしまったおかゆを、愛の部分を吹き飛ばすようにふーふーと冷ましながら食べていると、

 コンコンッ……とノックが。

 朝ほど過剰な反応はしなかった。確実に実果留じゃないから。


「あーい……」とダルく声をかけると、ガチャ……とドアが開いた。


「ハロー。病を抱えるボーイよー」


 軽いノリで顔を覗かせてきた女性は――


「あ、なんだ……隣に住む、引きこもりの小説家か」

「コラッ! それ、人聞き悪いからっ。
『実果留の美人お母様』とお呼びっ」


 そう。実果留母だった。

 サバサバした性格をしていて、細かく聞くのを面倒くさがり、あんまり詮索をしないタイプ。

 職業は主婦……と、小説家。前に一回なんかの賞を取って、それから仕事が舞い込み始めたらしい。

 俺が『引きこもりの小説家』と呼んでるのは、買い物しに出かける時以外は、だいたい家にこもって小説を黙々と書いているから。『実果留の美人お母様』なんて、呼んだことはねぇ。


 まぁ確かに、本人の言うとおり美人だけど。実果留もその母親の遺伝子を受け継いでるワケだし……。けど服装は、ただの白いTシャツにジーパン。いかにもテキトーなコーディネートだった。


 そんな実果留母は実果留同様、机から椅子を引っ張り出し、ベッドのそばに座った。


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