たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第3章 杉並実果留
「――と、いうわけで……夕崎君、本当にごめんね」
私は廊下を歩きながら、夕崎君にスマホ越しで謝った。
『そんな、謝らないで下さい。風邪気味でも油断は禁物です。今日は早く帰って、ゆっくりと休んで下さい』
「……うん」
階段の踊り場に差し掛かったところで、自然と足を止めた。
謝らないでと言われても、何度も『ごめんね』って言いたくなるよ。
だって……仮病なんだから。
『また元気になりましたら出かけましょう。プラネタリウムは逃げませんから』
「あは。そうだね」
『では、お大事にして下さい』
「ありがとう……またね」
と、スマホの通話をプッ……と切ると、胸がズキッと痛んだ。
夕崎君……本当にごめんね。
下駄箱で靴を履き替えてる時も、
駅に向かって歩いてる時も、
無意識に夕崎君に謝り続けていた。