たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第5章 杉並実果留・最終話
「あ……あのさ……実果留、時間って……ある?」
「えっ? ……う、うん。夕方までなら……」
「そっか。ならさ……ちょっと、一緒に散歩でもしないか?」
「さ……散歩?」
「そう。俺、まだ病み上がりだからゆっくりと、だけど……どうだ?」
「…………」
武と、散歩……。
すぐに答えないで、武をチラッと伺った。
武……昨日のこと、覚えてないっぽい? 普通に私に笑みを見せてるし、気まずそうな素振りもないし……私だけが動揺してるみたい。
なら……一緒に散歩しても、大丈夫そうだよね?
夕崎君と別れた後で不謹慎だけど……
それでも、武と一緒にいたい……。
「……うん。する」
「よっしゃ! じゃ、河川敷の方まで行こうぜ!」
「っ、うん……」
無邪気にハリキって歩きだす武が愛おしくなって……
抱きつきたくなった。