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詩織のビキニなメモリー

第4章 詩織、胸を見せます。

──それと、ここも。

そう言って、私はTシャツを脱いだ。
ごく自然に、流れのままに。

桟敷には他の客もいるなかで、私は上半身を露わにした。

ほんの数秒、彼に上半身をさらしたあとで、背中を指さした。

冷静な医者のように彼は観察し、軽くうなずいた。

私も不思議な満足感を得て、Tシャツを着た。

内科健診でブラジャーを外させていた時代錯誤な中学以来、家族以外の異性に乳房を見せたのはこれが初めてだった。

後悔はなかった。
ほんとうに、満足感だけだった。

ミナコが、よくやった、と目でほめてくれた。

それから私はビキニスタイルに戻り、なにごともなかったかのように遊びに復帰した。

そろそろ帰ろうかという誰ともなく言い出したのは4時くらいだったろうか。

帰りのバス停では偶然さっきの彼の隣になったが、何も話さなかった。

──あの場では、ああするのが自然だった。
このときも、私は後悔しなかった。

女子高生だった私の、これだけのお話。
つまらなかったら、ごめんなさい。
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