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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第1章 思い出ってなんですか?

 そんな中、私は見てしまったんだ......。

 自身の棺桶の前に正座して座っている、あの子を......。

 とても信じられないと言った表情で――何があったかすら、分かっていないような表情で棺を見詰める彼女に、同じ歳であった私は同じような目を向けるしかなかった。

 ――これが一体なんであるか。

 まだ小さかった私にはまるで分からなかった。ただそこにいるのが彼女であるのは分かっていたので、線香をあげる為近付いた時、私は声をかけることにした。


 いや、かけることにしてしまった、だ。この場合。


「美鈴ちゃん」
「......」

 少女は初め何も答えなかったが、数刻で自身が呼ばれたと気付いたらしく私を見詰めてきた。

「ゆうきちゃん......?」

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