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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第1章 思い出ってなんですか?

 目が合った。私は小さく頷きだけを返し、彼女をそこから連れ出した。大人たちにはお別れしたくない、なんて嘘をついて......。

「ゆうきちゃん......お父さんにも、お母さんにもっ......わたし、見えてないみたいだった......なんで? どうして?」

 何故なのか。幼い私の知識ではそんなことは分からなかった。
今であれば直ぐに答えは出るのだが、当時は物凄く考えた後に答えを出したと思う。

 だがその答え自体は、今と大して差はないだろう。

「......死んじゃった......から?」

 至極当然の答えである。

 生きているものと死んでいるもの、というのは、交わるべきでも関わるべきでもないものだ。

 幽霊、と呼ばれ恐れられているように、彼女もそうなってしまった。というだけのこと。

 対して彼女も、それを納得してしまったのか「そっか......」と小さな声を上げ、残念そうな顔をしていた。

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