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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第3章 過去

 ぽかん。としていると初音は「貴方――低級霊達まで見えていたなんて、可哀想に......」ととても哀れそうな声で言ってきた。

 ――ごめん、それはそれでムカつく。

「低級霊というのは、強い霊を本能的に恐れているんですよ」

「そうなの?」

「ええ......唯、ああいう霊は本能しかないのですがね。
理性や意思――というものはないので、なんとうなく自分をなんとかしてくれそうな人の前に姿を見せて、自分に害になりそうな者の前では姿を消すんですよ」

「へぇ......」

 ――つまり今まで見えていたのは私も美鈴ちゃんも弱いから。

 そして今見えないのはこいつが強いから。

 ――そういうことなんだろう。

 それが事実なんだろう。

 でも......それはなんだか、とても悔しくて。

 ――――ムカつく。

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