ヌードモデルの軌跡──詩織の中学生時代
第1章 芸術を理解するために
・
その日の美術の授業は人物画の基礎、クロッキーの実習だった。
二人の男子が上半身裸で、背中合わせにした椅子に座り5分間静止してモデルをつとめた。
クロッキーはスピードが命だから、5分で交代とするのは妥当だった。
▽
2ターン目が終わったところで、思いがけないことが起きた。
女子がモデルを志願したのだ。
みんな冗談だと思ったが、そうではなかった。
その女子はミナコといって、絵が上手かった。
学校近辺で目撃した変質者を絵にしたのが検挙につながった──というエピソードだけで説明は十分だろう。
あっという間にミナコはセーラー服の上を脱いでしまった。
ブラジャーは着けていなかった。
▽
当時のテレビは普通のドラマで女性の乳首を映していた。
美術の教科書にも裸婦画は載っていた。
それでも、生身の女性の乳房は、家族のものでも滅多に見ることはなかっただろう。
女子だって、スクール水着に着替えるときか、修学旅行の入浴時間ぐらいしか、クラスメイトの裸の胸を見ることはない。
男子もいるなかで、ある程度の時間自発的に公開された乳房は、きわめて異例だった。
しかも、目に焼きつけるだけでなく、クロッキー帳に残していいのだ。
いつも胸が大きい子をひやかし、普段はおっぱいを見たくてたまらない男子が、
いざ公然と見ていいとなると、目のやり場に困っていた。
でも、それも最初だけ。
またとないチャンスはきっちり活かし、ちゃんと絵を完成させていたようだ。
不公平がないように、ミナコは反対側の椅子にも移ってくれたので、
中学生なりの過不足ない大きさの乳房が、私からもしっかり観察できた。
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その日の美術の授業は人物画の基礎、クロッキーの実習だった。
二人の男子が上半身裸で、背中合わせにした椅子に座り5分間静止してモデルをつとめた。
クロッキーはスピードが命だから、5分で交代とするのは妥当だった。
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2ターン目が終わったところで、思いがけないことが起きた。
女子がモデルを志願したのだ。
みんな冗談だと思ったが、そうではなかった。
その女子はミナコといって、絵が上手かった。
学校近辺で目撃した変質者を絵にしたのが検挙につながった──というエピソードだけで説明は十分だろう。
あっという間にミナコはセーラー服の上を脱いでしまった。
ブラジャーは着けていなかった。
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当時のテレビは普通のドラマで女性の乳首を映していた。
美術の教科書にも裸婦画は載っていた。
それでも、生身の女性の乳房は、家族のものでも滅多に見ることはなかっただろう。
女子だって、スクール水着に着替えるときか、修学旅行の入浴時間ぐらいしか、クラスメイトの裸の胸を見ることはない。
男子もいるなかで、ある程度の時間自発的に公開された乳房は、きわめて異例だった。
しかも、目に焼きつけるだけでなく、クロッキー帳に残していいのだ。
いつも胸が大きい子をひやかし、普段はおっぱいを見たくてたまらない男子が、
いざ公然と見ていいとなると、目のやり場に困っていた。
でも、それも最初だけ。
またとないチャンスはきっちり活かし、ちゃんと絵を完成させていたようだ。
不公平がないように、ミナコは反対側の椅子にも移ってくれたので、
中学生なりの過不足ない大きさの乳房が、私からもしっかり観察できた。
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