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ヌードモデルの軌跡──詩織の中学生時代

第3章 美しさを表現するために


そろそろ体の線を描きたい、とミナコは言った。

ついに来たか──。

いいよ、と私は応じて、シャツを脱ぎブラを外した。
さらに短パンを脱ぎ、身につけているのは白いショーツだけという姿になった。

ありがとうとミナコは言った。
クロッキーが再開された。

私だって、恥ずかしくないわけではなかった。

パンツ一枚なんて、小学校の身体測定でもありえない。
小・中ともノーブラで体操服、内科検診ではまくり上げた。
高校ではスクールブラウスを素肌に着て(つまりブラを外す)、医師の前でボタンを全部外すか、潔く脱ぎ去るかの選択だった。

いずれにしろ、上半身は最大露出でも、下半身は保護区域だった。

体育の着替えでは上下の下着は脱がないし、
スクール水着ではパンツまで脱ぐ必要があるから、

学校生活でパンツ一枚という格好をキープすることは、まず考えられないのだ。

(まあ、日課としてパジャマを着る前のパンツ一枚で体重を量っているが、それは完全プライベートだ)

女に生まれてよかった──。

ミナコはパンツ一枚の私を実に美しく描いてくれた。

しかも、大胆なポーズほど美しいのだ。

──膝を曲げずに床に落ちたものを拾う──
──お尻を床につけてV字バランス──
──うつぶせから上体そらし──

ミナコは絵が出来上がるたびにその場で見せてくれた。
私は自分の体なのに感動し、
さらに大胆なポーズに挑戦した。

しかし、四つんばいのポーズを指示されたとき──
勢いで床に両手・両膝をついたものの、変形する乳房が急に恥ずかしくなって、左手で胸を隠してしまった。

ミナコはかすかに笑い、指示を撤回した。

私はほっとして、床に膝立ちのポーズに戻った。

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