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愛は、メロディにのって 「改訂版」

第1章 愛は、メロディにのって

         2

 「それでひとつ
  お願いがあるのですが」
 「はい」
 「ショパンの
  ノクターン20番・嬰ハ短調を
  さわりの部分だけでも
  弾けるように
  なりたいんです」
 「お弾きになりたいのは
  この部分ではありませんか」
 わたしは、あの有名な旋律を弾きました。
 「そうです
  先生すごいですね」
 「えっ」
 「ショパンの全曲を
  覚えているんですか?」
 「いえ
  この曲は
  わたしが
  一番好きな曲なんです」
 「そうですか
  私も
  一番好きなんです」
 いま弾いたメロディを弾くのはそんなに難しくはありませんが、コンクールや演奏会で弾くには、とても難しい曲ですと説明しましたら、望さんは、そのメロディだけでいいです、2小節か3小節だけでもいいです、と言いました。

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