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兄弟ですが、血の繋がりはありません!

第4章 夏の暑い日は溶けていればよし


***

「兄さん?入っていいー?」

猫用ドアから中を覗き込む。あまりに集中していると声をかけられたことにすら気づいてないことがよくあるからだ。

「ぉー…」

そしてこの生返事が兎に角多い。
何となく声がしたから返事(らしきもの)をしてみる、というパターンだ。よくこれでテキトーに了承して悠に怒られている。

「入りますよーっと、」

ガっ!

そっと扉を開けたつもりなのに、勢いよく何かとぶつかる。

「ちょっと何、これ…ぎゃぁくぁw背drftgyふじこlp;@:?!」

少しの隙間からぶつかったそれをよく見ると、明らかに人で、言葉にならない叫び声を挙げてしまった。

「あぁ、それ、友だちがくれた"リアル人体モデル・マサオくん"」

「だれ?!マサオくんだれっ?!」

うん、自分でも分かってる。
今突っ込むべきはそこじゃないこと。

だけどビックリしすぎて頭が混乱している。

「んぁ、なんか…話に、よると…」

筆の動きに合わせながら喋るものだから、酷くゆっくりで聞き取り辛い。これもよくある光景だった。

「クズ…な、元彼?…が、モデルとかなんとか」

「え、製作者の元彼さんがモデルなの?この内蔵飛び出ちゃうやけにリアルな人体模型?!」

元彼ってことは何かあったのかな…。
にしても怖すぎるんだけど。っていうか、クズって・・・。

「あ!マサオくんの話をしている場合じゃなかったんだ。兄さん、お昼ご飯出来るから降りてきてって悠が」

「あぁ、いいよ。食欲あんま…ない、し」

「ダメ。こっちは引き摺ってでも兄さん連れてこいって鬼教官に言われてるんだから」

「・・・」

「兄さん。聞こえないフリしてもバレバレ!」

まったく〜!悠じゃないけど、この長男本当に長男なのか?!

「おにぎり。悠が1個1個握るんだよ。弟が、それも可愛い末っ子が作るご飯、要らないって言えんの?」

「う"っ・・・」

「ほら、罪悪感が少しでもあるなら早く行くよ!」

で、結局。なかなか首を縦に振らない長男(笑)を半ば引きずるようにしてリビングへと連れていくのだった。

「兄さん!階段くらいは自分で歩いて!!」

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