兄弟ですが、血の繋がりはありません!
第2章 朝だって時には戦場になる
悠side
「ぎゃあぁああぁああぁああぁ!!!」
朝。我が家は相も変わらず騒がしい。
今日は鶫くんの絶叫で目覚める。因みにこれも珍しいことでは無い。
「ちょっと鶫くん、何叫んで…」
声のした洗面所へ行くと涙目の兄の姿。
そして足元には・・・
「智にぃ、」
全身真っ赤に染まった智にぃが倒れていた。
「悠!兄さんが、兄さんが!!血で真っ赤で、きゅ、きゅうきゅきゅきゅ!!」
「落ち着け」
足に縋り付いて来た腕を蹴りあげ、床の智にぃの側へしゃがむ。くんくん・・・
「うん、これ絵の具だね」
「凶器は絵の具?!」
「んなわけあるかい」
朝からボケまくる(恐らく本人は素)、兄その②の頭を引っぱたく。これは家族のためを思って行う愛のムチ。けして家庭内暴力などという物騒な話ではない。
「どうせまた夜中に風呂入ろうとしてここで力尽きたんでしょ。たっく…風呂に入ろうとしたことは褒めてやる、でもここで寝んな」
げしっ
今度は兄その①の脇腹を軽く蹴る。
「ハルル~俺朝練あるから早くシャワー浴びたいんだけど…兄さんが邪魔で風呂のドア開かない」
「分かってるって、俺も浴びたいし。つか、朝練?今何時だよ!」
「7時」
「鶫くんの朝練何時からだっけ?」
「7時40分」
「もっと焦ろよ!」
なんっで本人じゃなくて俺が焦ってる?
仕方なしに智にぃを無理やり起き上がらせて足で端へ追いやった。
「鶫くん、ほら早くシャワー浴びて、制服とカバンは俺が用意するから」
「りょーかいっ」
鶫くんを風呂場へ押し込み、俺はまた降りてきた階段を駆け上がる。本当は鶫くんの部屋という名の魔窟なんて入りたくないけど、兄を遅刻させるなんて俺のプライドが許さない。
「ってやっぱり魔窟だぁああぁあ!!」
足の踏み場がないのは勿論、ベットという巨大な家具でさえ物に占領されている。
「次の休み絶対に片付けさせるからな…!」
固く決意をし、ズカズカと部屋に入る。
幸い制服は椅子(だったもの)に掛かっていたし、カバンは本棚(らしい)の上にあった。
「よし、これで次は朝飯と弁当…!」