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僕ら二人

第2章 オマエが好きだ!

人徳というか天然の凄味というか、高校になっても桂のモテぶりは変わらなかった。

むしろ、拍車がかかったというべきか。
というのも彼は生粋の男女同権論者にして、女性解放論者だったからだ。

彼はいつも女性最優先だった。

「伊吹桂は全てにレディーファースト!」

まるで政治家のスローガンみたいだ。


すぐに彼は女性を大切に扱う男の代表としてこう呼ばれるようになった。

YFK(ヤング・フェミニスト・カツラ)と。

まるでJFK(ジョン・エフ・ケネディ)みたいだ。


やれやれ。


男は誰しも桂を羨ましがった。

だって周りを見渡すと桂同好会、桂同盟、カツラファンクラブ、リトル伊吹ーず、伊吹組、ザ・イブキスト、桂親衛隊に、桂運命共同体(おいおい、いったいなんの運命なんだか)。

とにかくそんなのがひしめき合っていたからね。

桂のファン達はカツラーと言われ、思い思いの腕章やらワッペンやらを付けて桂の周囲を取り巻いていた。

そうでなくても生徒数が少ない男子達は、桂のおかげでさらに肩身の狭い思いをする事になった。

けれども、当の本人はまったく別の次元で思い悩んでいたのだ。


つまり、男を好きになるなんて…

オレはいったいどうしたら良いんだ?」

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