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無表情の宇野くんA

第40章 阿保くん。

阿保くんは普通の子だ。


普通というのは普通ということで、世間一般的な人ということでありごくごくありふれた人間ということだ。中間的な存在とも言える。マジョリティーもマイノリティーも兼ね備えた超絶無敵な完璧超人にも思えるが、それは普通というだけである。


そう、彼は普通なのだ。


彼に好きな食べ物は?と質問をしたら、

「ご飯かな」

とありきたりでありながら奇抜な答えを返す。


というよりもちょっと意味のわからない答えを返す。


好きな食べ物を聞いているのにご飯というのはどういうことかと。普通はおかずをいうのではないのか。せめて麺類ならば許せるが、白米だ。


しかしそれが普通なのだ。安保くんがそう答えるのだから。これがおかしいと感じるのならば、それはその人が普通ではないのだ。マジョリティーからもマイノリティーからも逸脱した変人なのだ。


ちなみに阿保くんは普通米を研がずに炊き、無洗米を研いで炊き、ご飯はしゃもじで食べる。


彼は普通だ。

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