無表情の宇野くんA
第70章 おまけepisode Oh no 真由美ちゃん。
私は誰に対しても冷たい態度を取ってしまう。
だから、私には友達がいない。
昔から俯きがちだった私は、目より耳の発達が良いらしく、人の話し声をはっきり聞き取ることができる。
そう、それは聖徳太子のように、どれだけ大勢の中でもその声を聞き分け、三つ以上の会話を同時に聞くことができる。
それが聴きたい時に聞くことができるのならば便利なものだが、私は常に人の話に耳を傾ける。
私は常にひとりなのだから。
別に人の話を聞くのが好きなわけではない。むしろ嫌いな方だと思う。人の口は凄く汚い。誰かを傷つけることばかりに使う。そんな人間と一緒にいるくらいならば、私は一人でいたほうがましである。
ショウウィンドウに映る自分の頰には涙が伝っている。顔は無表情なのに、なぜだか泣いている。
ガラスの向こうのマネキンに見られている気がして、私は涙を拭って歩き出した。
大通りを歩くと、ほとんどの人は誰かと話をしている。二人で歩いていても、一人でも電話で、中には独り言をぶつぶつ唱える人もいる。
その話の中で最も盛り上がる話題は、決まって悪口だ。誰々が嫌だ、話しかけられた、差別的な言葉に単に嫌悪感を示す言葉。人は悪口を言う人間が嫌いと言うくせに、自分は意識せずに知らぬ間に悪口を言う。
この地球上で最も醜い生物は人だ。私がその人として生まれてきたことに後悔しかない。
最近の若い奴は、なんて文句を言う会社の上司に、昔のやつはと反論する若者。昔の人が今の若い人を育ててきたのに何を言う。若者だって、その人間に育てられてきたではないか。
私は自分の主観で物事を理解し、客観的に見れない人は嫌いだ。そう、これは悪口だ。
ぶつかってきた相手にもなにか事情があるのかもしれない、とは誰も思わない。対立すれば自分が正しいと思い込む。相手の意見なんて考えちゃいない。
私がコートの裾を踏んで滑って転び、顔を地面に打つと、心配する人なんていないし、皆悪口を言い、中にはスマートフォンで写真を撮る人までいる。
私の気持ちなんて考えない。
私は歯を噛み締めて、彼の元へ走った。
彼も私と同じで人と接するのが苦手だ。彼とは悩みを共感できると思っていた。
なのに、彼には彼女ができていた。
この気持ちは逆恨みなのだろう。しかし私は、彼への復讐を考え中だ。
だから、私には友達がいない。
昔から俯きがちだった私は、目より耳の発達が良いらしく、人の話し声をはっきり聞き取ることができる。
そう、それは聖徳太子のように、どれだけ大勢の中でもその声を聞き分け、三つ以上の会話を同時に聞くことができる。
それが聴きたい時に聞くことができるのならば便利なものだが、私は常に人の話に耳を傾ける。
私は常にひとりなのだから。
別に人の話を聞くのが好きなわけではない。むしろ嫌いな方だと思う。人の口は凄く汚い。誰かを傷つけることばかりに使う。そんな人間と一緒にいるくらいならば、私は一人でいたほうがましである。
ショウウィンドウに映る自分の頰には涙が伝っている。顔は無表情なのに、なぜだか泣いている。
ガラスの向こうのマネキンに見られている気がして、私は涙を拭って歩き出した。
大通りを歩くと、ほとんどの人は誰かと話をしている。二人で歩いていても、一人でも電話で、中には独り言をぶつぶつ唱える人もいる。
その話の中で最も盛り上がる話題は、決まって悪口だ。誰々が嫌だ、話しかけられた、差別的な言葉に単に嫌悪感を示す言葉。人は悪口を言う人間が嫌いと言うくせに、自分は意識せずに知らぬ間に悪口を言う。
この地球上で最も醜い生物は人だ。私がその人として生まれてきたことに後悔しかない。
最近の若い奴は、なんて文句を言う会社の上司に、昔のやつはと反論する若者。昔の人が今の若い人を育ててきたのに何を言う。若者だって、その人間に育てられてきたではないか。
私は自分の主観で物事を理解し、客観的に見れない人は嫌いだ。そう、これは悪口だ。
ぶつかってきた相手にもなにか事情があるのかもしれない、とは誰も思わない。対立すれば自分が正しいと思い込む。相手の意見なんて考えちゃいない。
私がコートの裾を踏んで滑って転び、顔を地面に打つと、心配する人なんていないし、皆悪口を言い、中にはスマートフォンで写真を撮る人までいる。
私の気持ちなんて考えない。
私は歯を噛み締めて、彼の元へ走った。
彼も私と同じで人と接するのが苦手だ。彼とは悩みを共感できると思っていた。
なのに、彼には彼女ができていた。
この気持ちは逆恨みなのだろう。しかし私は、彼への復讐を考え中だ。