ひな*恋 ~それは、誰にも言えない秘密の三角関係
第28章 早く私も忘れてしまいたいんです!
「あれー?
オヤジならもう仕事行っちゃったから、いないよ?」
「…私は慎吾くんのお見舞いに来たんだよ」
翌日の午前中。
私は慎吾くんの入院している病院に来た。
慎吾くんはまだ集中治療室の方にいたので、この中には家族しか入れないかもしれないと思ったんだけど。
でも私は昨日駆けつけた盆子原さんと一緒に付いてきていたので、看護師さんには慎吾くんの家族だと思われたみたいで入る事ができたのだ。
慎吾くんは昨日来た時と同じように頭に包帯を巻いているだけで、特に容態が悪くなった様子もなければ、むしろ普通に元気そうだった。
「お花、持ってきたの。
あそこにある花瓶に挿していいかな」
「へぇ、サンキュー。
適当にやっといてよ」
「うん…」
…昨日と同じ、まるで私を昨日初めて会った人のように話す慎吾くん。
やっぱり慎吾くんからは、私の記憶だけが抜けちゃったの?
他の事は普通に覚えてるようなのに、私の記憶だけ…っ