ひな*恋 ~それは、誰にも言えない秘密の三角関係
第28章 早く私も忘れてしまいたいんです!
「…いらっしゃいま…
…あ、盆子原さん」
「雛子さん?
目が…腫れていませんか?」
今日も夜の21時になる前に、仕事を終えた盆子原さんがうちの店に来てくれた。
慎吾くんのご飯は病院で出るから、盆子原さんは自分で食べる分だけの惣菜を選んでレジカウンターまで持ってきたのだ。
「あ…これはちょっと、なんて言うか…」
慎吾くんのいる病院から帰ってからも、ずっと家の中で泣いてしまっていた私。
あれだけ涙を出せば、何度顔を洗って化粧を厚めにしていてもバレちゃうみたい。
出勤してすぐ久保店長と小山さんに問われたけど、「思春期独特のものです」って言ったら納得されちゃった…。
「何か、あったんですか?
僕に話せる事だったら、話して下さい」
「あ…いえ、その…大丈夫です。
ちょっと、昼間に感動ドラマとか見ちゃって。それで…っ」
「…そう…ですか…」
こんな気持ち、盆子原さんには絶対言えないもの。
時間はかかるかもしれないけど、私がゆっくり慎吾くんとの事を忘れていけばいいだけの話なの。
だから…
どうか盆子原さんは、気にしないで下さいね…っ