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時計じかけのアンブレラ

第7章 晩夏

なんだよも~しょおくんのばかぁ~。
もぅこわれるかともったぁ…。

「ぉ……か……ぁ~…」

ぜぇぜぇと息をしながら訴えてみたけど、ちゃんと言葉になってないのが自分でも分かった。
翔君に通じたのかどうか。
ダハッ、って笑ってる?

二人とも盛大にぜぇぜぇ言ってて、もー、オッサンなのにヤリ過ぎだっての。

あぁ…気持ちぃ…。

だめ、無理、もー目が開けらんない…。
オイラ、このまま寝ちゃうな。

達した後、頭が空っぽのまま、何にも考えないでいる時間が好き。

翔君が言うには、オイラは意識が飛んじゃうとすぐに寝息になるらしいけど。

時間にしたらほんの数分。
息がだんだん落ち着いていって、はぁっ、って最後に大きく吐き出すまでの間。

ほわ~んと漂ってる感じはリラックスの極みって言うか、本当に気持ち良くて癖になる。

あ、翔君はそれがわかってるからガツンガツンに来るのか(笑)。

ふふっ。

「う、ん…」

ああ、抜かないでよ。
さみしい。

体を拭いてくれてるのがわかる。
テキトーでいいよ。
翔君も休んで…。

ぽわん、と浮いてる自分を楽しんでたら、突然腹に響くような雷の音がした。

「おわっ!!」

翔君の声に続いて激しい雨の音がざぁっ、と立つ。

「全然起きねぇな…
幸せそうな顔しちゃって…」

体にタオルが掛けられて、上から夏用の布団を掛けてくれた。

「おやすみ」

額に優しい手が触れる。
翔君、いつも大事にしてくれてありがとね…。

あぁ…また、雷。

青い傘の青江さん、元気かな。
彼の隣に、俺は居るのかな。
未来の翔君の隣に、俺は居る…?

訊いても教えてくれなかったんだ。

でも。
もしかしたら、何十年か先。
俺は翔君の隣に居ないのかもしれない。
そんな気がする。

「…ぁぉえさん…」

「…え?」

しょおくん。

「あいして、る…」

「オオエさん?」

おやすみね、しょおくん。

「オオエさんって誰のこと!?
ねぇっ、智君っ!!」

だめ、ねむい。
しょおくん、あいしてるよ。

オイラは眠りにつく直前の息を大きく吸って。
幸せな気持ちのまま、ゆっくりと吐き出した。






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