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Happiness day

第22章 青空の下、キミのとなり

智くんは、ボクの手から飴を取ると封を切る

ポイっと放り込み、口の中で転がした

「甘くて美味し」

「良かった口に合って。
期間限定ってなってて
舐めた事ない飴だったから、味知らないで選んだんですよね」

「翔くんはこの飴舐めてないの?」

「はい。部屋の机の上に置いといたら、弟と妹が勝手に舐めちゃって…
ボクは一つも舐めずに無くなりました」

「それは残念だったね」

「いつもの事です」

「期間限定じゃ、もう売ってないのかな」

「そうですね、こういう商品って入れ替わりが早いですから」

「そうだよねぇ…じゃあ、分けてあげる
弁当も半分ずつ食べたし」

智くんの口から『カリッ』と音がしたかと思ったら
智くんがすぐ目の前に…

「え…?」

口を塞がれ、苺の味が口の中に広がった

「…へっ⁈」

「どう?美味しいでしょ?」

智くんがニコッと笑う
口の中には飴のカケラ?

「…レモンじゃない…」

「え?そこから?
イチゴ味はわかってて選んだんじゃないの?」

智くんの表情が驚きに変わる

「あっ!じゃなくてっ!
ファーストキスはレモンの味がするって…本に書いて、あった、か、ら…」

答えてて恥ずかしくなってきた…
さっきのは、智くんとキスしたって事でいいんだよね?

「ははっ!そっかそっか
それなのにイチゴの味がしたって事か」

「は、い…」

「だから言っただろ?
現実の世界で色々な事教えてあげるって
本と現実じゃ違うことも沢山あるからさ」

アレって、こういうことなんだ…

今更ながら、智くんとキスした事を認識し
恥ずかしくて、智くんを見られない…

視線を下げてコクンと頷くと
智くんに抱きしめられた

「もっと色んな事、実体験していこうね?」

智くんの腕の中でコクコクと頷いてしまったけど、いいのかな?

今日からドキドキな高校生活が始まった。


〈end〉

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