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Happiness day

第23章 Bad boy

「智〜、ちょっと来て〜」

玄関の方から、かあちゃんの呼ぶ声がする

「ん〜、なぁに?かあちゃん」

さっき、インターフォンが鳴ったから、誰か来たんだろうけど
もうすぐ夕ご飯の時間…
オレの友達って事はないよな

トテトテと玄関まで歩いて行くと、かあちゃんと同じ位の年の男の人と女の人

誰だ?初めて見る顔だな

「こっちおいで」

かあちゃんがオレの肩を抱き、その人たちの前に立った

「息子の智です」

「あら、可愛い。おいくつ?」

「今5歳で、この4月から幼稚園の年長になります」

「幼稚園生かぁ、懐かしいわね?」

「あぁ、懐かしいな」

男の人と女の人が笑顔でオレを見下ろす

「うちの子は今年から中学生で…
ほら、翔…ご挨拶して?」

ふたりの後ろから現れた人が、オレの前にしゃがんだ

「智くん?
今日からお隣に住む事になった櫻井翔です。よろしくね?」

オレを見上げ、ニコッと笑って手を差し出す

「よ、ろしく…」

オレはドキドキしながら、その手を握った事を覚えている

「翔ちゃん?智と仲良くしてあげてね?
歳が離れてるから、お友達は難しいだろうけど、面倒見てやって?
ヤンチャ坊主で困ってるの」

「歳が離れててもお友達になってくれるよね?智くん」

「おうっ!なってやる!」

「もう!智ったら!
ごめんなさいね、翔ちゃん。口のきき方も知らなくて」

「いいんですよ、智くんとはもう友達なんですから」

「まぁ…優しいお子さんで羨ましいわぁ」

かあちゃんがうっとりした声でそう話すのを、オレは翔ちゃんを見つめ、手を握ったまま聞いていた。

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