
世界で一番尊いあなた(嵐)
第11章 ♡♡♡
アイドルとしては0点の思考回路だが、大好きな人とこんな別れ方をして仕事に向かう時には誰だってこんな気持ちになるだろう。
今日は現場に向かったところで叱られるし、どう考えてもやる気が起きそうにない。アイドルの 櫻井翔をやりきれる自信が無い
今日は無理な日なんだ、明日また頑張ろう。
…そう思った途端、背後から俺を呼ぶ声が聞こえた
和也「ねえ!」
俺が反射的に振り返った時、かずはマスクを取っていた。俺はそれが気になって、必死に伝えるがかずは無視して歩き続ける。俺の目の前まで来たところで、かずは俺のマスクをぐいっと下へ下げた。
翔(―――あ…)
状況を整理する間もなく、かずは俺に優しくキスをした。俺の袖をぎゅっと掴んで、少し背伸びをしている、かわいいキス。
それは本当に一瞬で、だけどスローモーションみたいにゆっくりとした時間だった
和也「えへへ。頑張ってきてね」
その顔は、今日最後に見せる俺だけの二宮和也の顔だった。
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ーー
タクシーに乗り込んで、俺は気合を入れるつもりで自分の頬を3回軽く叩いた。
翔「…よし」
かずの一言で人が変わったみたいにやる気が満ちてくるのがわかった。俺はあの笑顔のために頑張っているんだ。それなのにいつまでもかずへの気持ちを引きずっているようじゃかずに苦い思いをさせてしまう。
恋も、仕事も両立させる それがスーパーアイドルの彼氏でなければならない。俺はそう思う!
翔(ん…?あ、かずからLINEだ)
和也『翔ちゃん昨日はありがとう。楽しかったよ。次はいつ2人で会えるかなあ。早く会いたいよ、大好きだよ。仕事がんばろうね』
翔(ふふっ…かわいいな)
今すぐに会いたい気持ち、かずも一緒なんだと安心する。
かずとわざとすれ違ってきた過去。お前を傷つけたくない一心で周りが見えなくなった俺は…知らずにかずの気持ちを踏みにじってきたんだ。
もっと早くこうなりたかった。過去に戻れるなら自分勝手な俺をぶん殴ってやりたい。
だけど、その時間もかずは愛おしいという
たくさんすれ違って傷つけあってきたからこそ俺たちは深い絆を結ぶことができたんだって
最初は俺を庇ってくれてるんだと思ったよ。…だけど…だけど俺も、いまはそう思う。
