無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

ここは元から翔ちゃんのお気に入りの店だ。
あれから、なんとなく足を運んでいたとしても別におかしなことではない

マスター「その時ね、翔ちゃん今までにないくらい飲んでてね」

マスター「酔った勢いなのか、言ってたわ」

マスター「貴方のこと」

和也「え…俺の事？」

翔ちゃんはもう俺の事なんてどうでもいいんだと思っていた
だから俺の事をまたここで思い出してくれた
それがどんな理由であれすごく嬉しかった

マスター「ええ…。あのね、翔ちゃん」



マスター「あなたを「世間の目」から守りたいって言ってたわ」



和也「…せ、世間の…目？」

マスター「うん。…なんだかね、すごく複雑だった」

和也「世間の目…って、俺と翔ちゃんが…そういう…」

マスター「えぇ、貴方達がいい方向に進むためにも、話すわね」

マスターはそう言うと、その日あった出来事を嘘偽りなく、話してくれた

それをきいて俺は初めて、翔ちゃんの気持ちに
触れてしまった

マスター「…それで、こう言ってた。「俺と付き合えば、にのは不幸になる。だから俺はこのままの関係を続けたかった」」

マスター「「もしマスコミにバレた時は、俺が悪役になる」」

あの人のいう「守りたい」その意味が少しずつわかっていく
俺は相槌を打つことさえも忘れて必死に頭で理解しようとしていた

貴方が理想としていた世界は私には抱えきれないほど大きくて、賢くて、知らない物語を聞かされているような気持ちになった

だけど

マスター「あの人は、あの人なりに。すごく不器用にあなたを…愛していたのかもしれないわ」

和也「…な、るほど…」

貴方の気持ちを理解していくうちに、
自分が大嫌いになっていく

翔ちゃんの気持ちをずっとわかってあげられなくて

翔ちゃんにずっと辛い思いをさせていた

和也「翔ちゃん…っそんなに…俺の事…っ」

ごめんね翔ちゃん。気づいてあげられなくて

マスター「翔ちゃんには抱えるものが多すぎるのよ。だけどそれをあなたと二人で抱えることが出来れば、きっと軽くなるはずよ」

和也「…俺…今更どうすれば…！」

マスター「…ほんとはわかっているでしょ？…貴方がやるべき事。」

和也「俺が…やるべき事…？」

マスターはいつまでも優しく笑ってくれていた

マスター「今度は貴方が翔ちゃんを守るのよ」