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世界で一番尊いあなた(嵐)

第6章 それはやっぱりきみでした


12月25日 翔 side

スタッフ「お疲れ様ですー!」

翔「お疲れ様でーすありがとうございました」

今日はクリスマス
そんな日でも俺は構わず仕事をしていた

翔「はぁー」

窓の外はまだ18時前なのにもう真っ暗で
恋人たちの夜を迎えようとしている

翔(まあ俺には関係ないけど)

どうかこの夜がどこかの誰かにとって
最低な夜になりますように、そんな卑屈なことを考えるようにもなった

翔(今日は早く帰れるし、1人でのみにでもいくかあ)

寂しい夜は酒に限る
ここ数年、ずっとそうだ

ほんとは今日、にのと一緒にいたかった
恋人にはなれない俺たちだが、
こんな日くらい恋人ごっこをしたっていいじゃないか

だけど結局、誘えなかった

にのは今何をしているのだろう
どこかの誰かと笑っているのかな

――それならいいんだ、それなら
にのが幸せなら

俺はテレビ局から出て、タクシーを拾う
行先は、もちろんあの店だった

俺は一度予約の電話をしておこうと、
ズボンにしまいこんでいたiPhoneに手をかける

翔(そういえば今日はドタバタしてて朝から触ってなかったな。めっちゃ連絡きてそう…)

iPhoneの電源をつけると、案の定たくさんの通知が鳴る
マネージャーや友だち、スタッフさんからも連絡が来ていた

翔(ひゃー、めんどくさ。電話してから返そ)

長文を考えるのは時間がかかる。また後で開こうと、LINEの通知には見向きもせず俺は店の電話を鳴らした

翔(18時…まだオープン前か、出るかな…)

クリスマスの夜は意外とカップルで埋め尽くされたりして。それなら自分が惨めになるから違う店にしよう…なんて考えていたら、電話越しからいつもの陽気な声がした

マスター『はーい、BAR MARINでぇーす!』

翔「あ、マスター?翔だけど。オープン前にごめん」

マスター『あらぁ〜!!こんな夜に大天使のお声が聴けるなんて思ってなかったわ〜!どうしたのん?』

翔「あー、いや。今日店に行きたいんだけどさ、貸切いけない?」

マスター『あぁ〜んごめんなさい。今日はクリスマスだから予約がいっぱいなのよ〜ん。』

やっぱりそうか、確かにカップルはこんな夜こそお洒落なバーに行くもんだ。マスターがオネエなことを除けばかなりロマンチックな外観にもなってて人気なのもわかる

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