
世界で一番尊いあなた(嵐)
第10章 世界で一番尊いあなた
貴方にそう言われたら断れない。
俺は右手を下げて
ゆっくりと目を開けた
和也「…っ!」
その瞬間、
青い光が俺の視界を遮った
眩しくて、慣れなくて
だけどだんだんと見えてくる
その景色
和也「…あっ…!」
それは公園を囲むようにして植えてある小さな花壇が
キラキラとした青い光に包まれている神秘的な光景だった
和也「翔ちゃん…!これ…!」
翔ちゃんは俺の顔を見て、ホッと胸をなで下ろした
翔「ふぅ〜、にのが遅刻するから間に合わないかと思ったよ。」
翔「これね、8時になると点灯するんだ。俺、昔この近くに住んでてさ。毎日やるから見に来る人も少ないし、俺たちには取っておきの場所だと思ったんだよね」
翔「まあ、もうクリスマスも終わっちゃったけどね。」
毎年この季節は忙しくて、イルミネーションなんてちゃんと見たことなかった。
ひとつひとつが輝いて、まるで光の海みたいだ…!
翔「にのはこういうの…すき?」
和也「…」
和也「…全く…」
翔「え゛?!」
和也「ブッ…//何その声、ごめんごめん…!」
ちょっとからかったつもりが、かなりのダメージだったらしい。
でも、嘘じゃない
和也「…全く…興味がなかったのはほんと。…別にわざわざ見に来ようなんて思ったことなかったですし」
翔「……」
和也「だけど…、」
和也「だけど、翔ちゃんと見るイルミネーションは…俺、好きかも…!」
この光を、この感動を、
大好きな人と共有出来る時間。
俺はこの時間の尊さを初めてしった。
翔「…あぁ…ふふっ…それならよかった。にのが喜んでくれたなら、俺は嬉しいよ」
翔「…俺たち、アイドルだし…男同士だし…。人前で手を繋いで歩いたり、お前が行きたいところだって自由に行けないかもしれない」
翔「イルミネーションだって…こんなしょぼいのしか見せてやれない…」
和也「翔ちゃん…」
翔「だけど俺、」
翔「お前のこと絶対守るから!」
翔「恋人らしいこと、何一つ出来ないかもしれない…それでも俺は、お前が辛い時はどこにいたって飛んでいく!」
翔「だから…だから俺と」
翔「ずっと一緒に…いてくれますか…?」
貴方はどこまでも真っ直ぐに俺を愛してくれている
貴方の震える指も、声も。
全部俺の温もりで包んであげたい
